医療費控除

一年間に払った医療費が10万円を超える場合は、医療費控除の確定申告をすることで払った所得税が戻ってきます。また、翌年の住民税も減税することができます。戻ってくる還付金の計算方法や、申請の流れを解説します。


✏️制度のポイント

  • 年間の医療費が10万円を超える場合、所得税から控除が受けられる
  • 10万円を超えた分が全額帰ってくるわけではない
  • 住民税の減税効果もある
  • 確定申告の際に合わせて申告する

医療費控除とは

1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が、10万円を超える場合に申請することができます。

世帯で10万円を超えていれば申請が可能です。つまり、配偶者や子供の医療費も合算する事が可能です。

全額もどってくるわけではない

「10万円を超えた金額が全額もどってくる」と勘違いしている人が多いようですが、実際は全額戻ってきません。

戻ってくる金額は、最大でも45%です。年収1000万円以下の世帯であれば、支払った金額の20~23%ほどが還付されるケースがほとんどでしょう。

戻ってくる金額は?

還付金の金額を決定する税率は、課税所得によって決まります。

所得税率テーブル

あなたの課税所得は?

ここで注意したいポイントは、「所得」と「課税所得」は異なるということです。

  • 課税所得 = 所得から所得控除を差し引いた金額

例えば、給与収入のみを考えてみましょう。

◯年間収入が350万円の場合:

  • 350万円 - 123万円(給与所得控除) - 38万円(基礎控除) = 189万円

となります。

ここからさらに「扶養控除」や「社会保険控除」など別の所得控除も利用できますので、実際はさらに課税所得は低くなります。

所得控除には、例えば

  • 扶養控除(扶養家族がいる場合に約2万円〜7万円の控除)
  • 配偶者控除(結婚している場合に約2万円〜7万円の控除)
  • 基礎控除(すべての方が一律に38万円の控除)
  • 給与所得控除(給与額に応じて65万円以上の控除)

などがあります。

所得から上記のような控除をマイナスして、課税控除を算出します。

医療費控除の計算

所得税率がわかれば、医療費控除を計算は簡単です。

  • 医療費 - 10万円 × 所得税率 = 戻ってくる金額

課税所得300万円で、医療費が50万円の場合:

先ほどのテーブルから、課税所得300万円の所得税率は10%です

  • (医療費50万円 - 10万円) × 10% = 4万円

この場合、4万円の還付金が受け取れます。

翌年の住民税も安くなる

医療費控除額の10%に当たる金額だけ翌年の住民税も安くなります。

例えば、50万円の医療費がかかった場合は、40万円の10%、つまり4万円が住民税から減額されます。


申請の方法

所得控除は、確定申告の際に合わせて申告します。

確定申告は基本的には、毎年2月16日~3月15日となります。

医療費控除を利用する場合は、会社に勤めている場合でもご自身で行う必要があります。

確定申告の方法については、以下からご確認ください。

確定申告の方法

まとめ

  • 年間の医療費が10万円を超える場合、所得税から控除が受けられる
  • 10万円を超えた分が全額帰ってくるわけではない
  • 住民税の減税効果もある
  • 確定申告の際に合わせて申告する